今回で「木造建築物の構造の話」一区切りとさせていただきます。
前回の続きで「大きな地震の後も住み続けるにはどうすればいいか」ですが
建物の評価に「耐震等級」というものがあり3段階に分けられています。
耐震等級は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」
で建て主に分かりやすい耐震性の判断基準です。
・耐震等級1 : 建築基準法の耐震性能を満たす水準
・耐震等級2 : 耐震等級1の「1.25倍」の耐震強度
災害時の避難所として指定される公共施設は、耐震等級2が必須です
・耐震等級3 : 耐震等級1の「1.5倍」の耐震強度
災害時救護活動や復興拠点となる警察署や消防署などの多くは
耐震等級3で設計されています。
立て続けに2回発生した熊本地震では、1度目は耐えたものの2度目の
地震で倒壊した建物も多数あった中、耐震等級3の建物は2度の震度7に耐え
半壊・一部損壊が12.5%、無被害が87.5%との調査結果が出ています。
これで「耐震等級3」をお勧めしている事が分かっていただけたと思うのですが
問題はサイトやチラシで目にした事もあるであろう
「耐震等級3相当」
です。この「相当」が付くだけで注意が必要で、二つの意味合いがあります。
一つ目は、キチンと構造計算を行って耐震等級3となっているが
公的な「証明書」が発行されてない為に(相当)としている場合と
二つ目は、ただ耐力壁(筋違や構造パネル)を1.5倍しただけで
他の部分は他の等級の水準と変わりない場合があります。
後者の方は悪質で耐震等級3は、ただ耐力壁を1.5倍すればいいというものではありません。
これは専門外の方では見分けは難しいと思いますので
耐震等級3であると言われるのであれば、費用は発生しますが
公的な機関での証明書の発行を求めるのが間違いないかと思います。
証明書があれば保険等の割引がありますので、 トータルコストでは逆にお安くなります。
全体的に言えるのですが、信頼できる設計者及び施工者にご依頼されるのが一番です。
匠都設計では耐震等級3と断熱等級5を標準に考えており
建物の価値を最大化することに努めています。
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